日本文化・地域体験プログラム
There were many experiences in throughout the program that will be useful to my future career.

現地の人との交流について印象に残ったことは?
How was your experience interacting with local people?
現地の人々との交流はとても新鮮で、有意義なものでした。出会った方々は皆とても親切で、店員さんとのちょっとした会話でも歓迎されていると感じました。最初は日本語がほとんど話せないため、地元の人と話すことにとても緊張していましたが、言葉の壁が本当の意味で「壁」になることはありませんでした。言葉が通じなくても、気持ちは通じ合うことができました。プログラムの終盤には、お店やレストランに入るときも自信を持てるようになっていました。白峰でスーザンさんが通訳してくれたことも、とてもありがたかったです。村の人々の人柄をより深く理解することができ、白峰とのつながりを強く感じました。今では周りの人に白峰のことを話すのが楽しみで、観光の促進にもぜひ貢献したいと思っています。
また、日本全体を通じて非常に高い勤勉さと職業倫理を感じました。この高い労働倫理が、日本社会に根付く「自然保護」や「資源を大切にする」考え方につながっているのだと思います。日本ではあらゆることに誇りが込められており、それが資源の保全意識につながっています。人々が資源の価値を深く理解し、それが人々や経済にとってどれほど大切かを知っているのだと感じました。
金沢や白峰での交流経験は、学問的にも今後のキャリアにも必ず役立つと思います。異なる文化や背景をもつ人々と協働し、問題を解決する経験を実際に積むことができたからです。こうした経験は、考え方の違いや問題の多様な解釈を理解する助けにもなります。将来は、異文化・多様な背景をもつ人々と協力し、意思決定に多様な視点を取り入れたいと考えています。そのほうが問題をより包括的に捉えることができ、今まで思いつかなかった解決策を生み出す可能性があるからです。
また、こうした交流は将来のキャリアにも大いに役立つと思います。気候変動は世界規模の問題であり、持続可能性や自然保全への取り組みもグローバルな課題だからです。今後私は世界中の人々と協働することになるでしょう。今回日本で直面した課題や見つけた解決策をもとに、世界の持続可能性や環境保全を推進するためのグローバルな解決策を考えていきたいと思います。
プログラム期間中の活動で特に印象に残ったこと
Please write about what left a strong impression on you during the program period.
このプログラムを通して印象に残ったことは数多くありましたが、最も強く印象に残ったのは「伝統の継承」が日本文化においていかに重要であり、それが環境保全や持続可能性の取り組みにもつながっているという点です。白峰では、地元の素材を使った伝統工芸や、地域の食材を活かした郷土料理を学びました。また、白峰の人々と交流し、彼らが地域の未来をどのように描いているのかを知ることができました。
白峰では、日本文化と自然との深いつながりを強く感じました。例えば、食べた料理はすべて白山地域で採れた山菜や堅豆腐などの地元の食材で作られており、試飲した日本酒も白山の水で仕込まれたものでした。建物も白山周辺の木材などを使って建てられており、人々が自然と深く共生していることに感銘を受けました。また、村の中では古い建物が壊されるのではなく、現代の要素を取り入れながら再利用されている様子も印象的でした。アメリカでは「古いもの=壊すもの」と考える傾向があり、維持管理も十分とは言えません。そのため、何百年も前の建物が大切に手入れされ、新しい形で生かされている姿を見るのはとても新鮮でした。
白峰で体験した「保全の精神」がアメリカでも広まれば、限られた資源の再利用を進め、持続可能性を高めることにつながると感じました。ただし、そのためにはアメリカ社会全体の意識を大きく変える必要があるとも思いました。だからこそ、「どうすればアメリカの人々を自然に近づけられるか」「どうすれば自然を文化の一部として取り入れられるか」という問いを持つようになりました。
同様の考え方は金沢でも見られました。金沢の街は、現代と伝統が見事に融合していると感じました。例えば、ひがし茶屋街では歴史ある建物の中に現代的なお店が並び、金沢らしい商品を扱っています。また、バスで市内の中心にある兼六園に行けば、300年以上の歴史を持つ木々に出会えます。金沢は「自然の上に街を作る」のではなく、「自然の中に街を築く」という考え方で設計されているように思いました。道路には雨水を川へと流す水路が整備され、洪水を防ぐ仕組みが組み込まれています。建物も地形を変えるのではなく、自然の勾配を活かして建てられていました。
総じて、日本文化と日本人は自然と深く結びついており、気候変動の時代において世界が持続可能な取り組みを進める上で、日本がリーダー的存在になれると強く感じました。
プログラム中の経験で将来のキャリアのために役立つと思うこと
What was a useful experience for your future career among your experiences during the program?
このプログラムを通じて得た多くの経験は、将来のキャリアに役立つものでした。最終的には、持続可能な開発目標の計画や、それらの目標達成を支援する分野に進みたいと考えています。したがって、白峰での2日目に、白山高山植物園や砂防科学館を訪れ、国立公園レンジャーの方から日本の公園管理について学んだ日が、最も有益な経験だったと言えます。そこで学んだ多くのことは、アメリカや世界各地でも応用でき、自然保護や持続可能性の取り組みを推進する一助になると感じました。
白山高山植物園では、多くの高山植物が絶滅の危機にあること、そして地域の人々がその問題に気付いたことを学びました。その問題に対処するために、彼らは高山帯から種を採取し、別の場所で育てることで生存を確保しようとしています。地域社会が問題を発見し、迅速に解決していく姿に感動しました。これは、意思決定における地域社会と住民の意見の重要性を強く示していると思います。アメリカでは、地域の声を軽視し、経済的価値を重視した政策が作られがちで、その結果、地域住民が不利益を被ることもあります。修士論文では、地域住民の意見を反映させるために、批判的かつ参加型GIS(地理情報システム)の手法を用いて政策改善を探求したいと考えています。高山植物園での経験は、保全活動には地域社会の関与が不可欠であるということを改めて思い出させてくれました。
また、砂防科学館で学んだ日本の土砂災害防止の取り組みも、将来のキャリアに大いに役立つと思います。アメリカでは、インフラの維持管理が不十分で、都市が氾濫原に建設されているため、洪水の問題が頻発しています。そのため、日本の砂防ダムや類似の構造物が洪水制御に役立つかどうかを検討するのは興味深いことです。コロラド州などの山岳地帯でも侵食が問題となっており、日本で行われているような、不安定な岩場にネットをかけて植物を植える方法や、砂防ダムを利用して水流を遅らせる方法をアメリカで応用できるのではないかと考えています。さらに、水流を遅らせることで人間が利用できる水を増やせる可能性も興味深いです。たとえば、ロッキー山脈に砂防ダムシステムを設置すれば、コロラド川の流量が増え、干ばつによって危機にある「コロラド川協定」を維持できるのではないか、という発想にも関心があります。少し飛躍的に聞こえるかもしれませんが、日本で学んだことをすべて活かし、アメリカや他の地域の持続可能性向上に役立てたいと考えています。同時に、日本の人々が自国の取り組みで改善が必要だと考える点や、アメリカの事例が日本に役立つ部分についても学びたいです。
将来の仕事に活かせるもう一つの経験は、白山国立公園レンジャーの方の話を聞いたことです。特に印象に残ったのは、日本では公園が政府ではなく神社によって所有されている場合が多いという点でした。アメリカとは大きく異なり、とても興味深いと思いました。というのも、政府ではなく利害関係者が所有することで、公園に対する関心や保護の方針が政治の変化に左右されにくくなるからです。アメリカでは、現政権が連邦政府所有地を民間に売却しようとしている一方で、前政権は保護区域を拡大しようとするなど、方針が政権交代のたびに変わります。日本のように、神社などの利害関係者が土地を所有していれば、土地の保護に関する不確実性を減らし、将来世代への保全を確実にできる可能性があります。
また、日本の国立公園には、多様な関係者が関与している点も興味深く感じました。長年にわたって築かれた人間関係のもとで協働的に公園を管理しており、アメリカとは対照的です。アメリカでは、どの省庁がどのように管理するか、最終的な決定権は政府機関にあり、選挙によって不適切な人物が選ばれた場合、腐敗の温床にもなり得ます。したがって、日本の公園管理の仕組みをより深く学び、アメリカでもより包括的で協働的な管理手法を導入できないか検討してみたいと思いました。
次年度以降、同じプログラムに参加する学生に伝えたいこと
Comments for students who will participate in the same program next year.
このプログラムに参加する前に、日本文化について学ぶことはとても大切だと思います。たとえ、使っていない箸をどこに置くかといった小さなことでも、日本文化への敬意を示すうえで大きな意味があります。自分が日本文化を尊重し、学び、受け入れようとしている姿勢を示すことができるからです。
また、出発前にいくつかの基本的な日本語のフレーズを覚えておくことも役に立ちます。日本語が分からなくても、「こんにちは」「おはようございます」「すみません」「ありがとう」といった言葉を知っているだけで、コミュニケーションがぐっと取りやすくなりますし、相手に敬意を示すことにもつながります。さらに、出発前にある程度の金額を日本円に両替しておくのもおすすめです。そうすれば、長いフライトの後でも空港で食べ物を買うことができます。
学問的な準備としては、日本における持続可能性への取り組みについて事前に調べておくことが重要です。そうすることで、現地での学びや交流がより深いものになります。また、ノートや書類を整理するためのフォルダーを持参すると便利です。私は各講義でノートを取り、プログラム期間中にそれを何度も見返すことができました。これらのノートは、自分が今後さらに研究したいテーマや、アメリカでどのように日本の手法を取り入れられるか、またアメリカが日本の取り組みをどのように支援できるかを考えるうえでも役立ちました。
最後に、プログラムの数日間はあっという間に過ぎてしまいますが、この経験から得られる知識や学びは、一生の財産になるでしょう。真剣に取り組み、積極的に参加すれば、それだけ多くのことを得ることができます。
渡航前・渡航後のCOILを含め、プログラム全体を通しての感想
Feedback on the program, including COILs before and after trips to the US/Japan.
全体として、このプログラムは本当に素晴らしいものでした。一生に一度の貴重な経験であり、同じ体験を再現することはできないと思います。もし自分一人で金沢や白峰を訪れたとしても、今回のように深い学びを得ることはできなかったでしょう。プログラムの構成がとてもよく考えられていて、日本における「自然とのつながり」を実感することができました。道路の構造にまで自然との共生の理念が組み込まれていることに気づき、感銘を受けました。
また、学びと自由時間のバランスも非常によく取れていました。日中は活動的に学び、夜には金沢の街を探索したり、他の参加者との交流を深める時間が持てました。金沢大学の先生方も、旅行や宿泊、活動内容の計画に細心の注意を払ってくださり、国際部のスタッフも非常に丁寧で、プログラム成功のために必要な情報をすべて提供してくださいました。
事前に提供された情報も非常に役立ちましたし、白峰の人々と実際に会う前にオンラインで交流できたのも良かったです。H-1フォームやアクティビティレポート、ルーブリックも、振り返りにとても有効なツールでした。
10日間という短い期間でしたが、この経験は一生忘れることはないでしょう。日本で学んだ自然保護や持続可能性の考え方を今後の活動に生かし、世界の環境をより良くしていきたいと思います。また、自分の学問的な知見をもって日本の保全活動にも貢献し、将来にわたって日米の間に持続的な協力関係を築いていければと願っています。
砂防科学館で学んだ「歴史的な巨石」です。この石は、川の力の強大さ、そして地域社会の力強さとたくましさを示す象徴として残されています。この石を運んできた洪水が、日本で現在も続く洪水・土砂災害対策のきっかけとなりました。 歩道や道路沿いに設けられた排水路は、川への水の流れを促進し、道路の冠水を防ぐ役割を果たしています。白峰のまちは、自然と人間の双方にとって利益となるよう、あらゆる面が計画的に設計されていることが分かります。